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最高裁判所第一小法廷 昭和33年(オ)273号 判決 1958年11月27日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士三宮重教の上告理由について。

しかし、原判決がその挙示の証拠に基いて認定した判示の如き事情の下で、本件賃貸借は一時使用の為め借地権を設定したこと明らかな場合に該当するものとした判断は当裁判所もこれを正当として是認する。そして右判断に至る過程において所論経験則に違背するかどを見出し得ない。所論はひつきよう原審がその専権に基いてなした自由な事実認定を非難するものでしかない。しかして一時使用の為めの借地権が借地法一〇条に定める買取請求権を有しないことは所論もいうとおり当裁判所の判例(昭和二九、七、二〇、最高裁判所第三小法廷判決、民集八巻一四一五頁)とすることろであり今これを変更する必要を認めない。この点に関する所論はひつきよう独自の見解を出でないものである。

以上のとおりであるから論旨はすべき採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 入江俊郎 裁判官 高木常七)

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